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OCT(光コヒーレンストモグラフィー)についてはこちらの新しいOCT製品紹介ページからご覧ください。

光コヒーレンストモグラフィーとは?

 光コヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography:OCT)とは、光の干渉効果を利用してものの構造を非侵襲・高分解能で計測し、3D断層画像をイメージングする技術です。 

OCT研究開発体制

 筑波大学、タツタ電線株式会社、シグマ光機株式会社と次世代OCT計測システムの 研究開発における協力体制を築いているほか、 2020 年 4 月からは、筑波大学と共同で OCTJointLab (筑波大学イノベ イ ティブ計測センター・OCT研究室)を設立し、共同研究を実施中。OCT計測技術の開発と並行し、グループ内外のリソース(設備・情報・技術・人材等)を相互活用するための統合管理プラットフォーム( 計測システムおよびデータの共有 /連携システム)開発を進め、複数の企業、研究機関と連携し、研究成果の早期実用化・最大化・幅広い活用を目指しています。 

OCT研究開発実績

【前身組織(株式会社システムハウスつくば事業所)での実績】
2009~2012 年、 JST 産学イノベーション加速事業【先端計測分析技術・機器開発】ソフトウェア開発プログラム「光バイ オプシー診断における超高速処理ソフトウェアの開発」に参画

【スカイテクノロジーでの実績】
2014年~現在、研究用 OCT 計測システムコアモジュール(解析ソフトウェアを含む)を研究開発
2014年、北里大学より OCT 機器用解析ソフトウェアを受託開発
2014~2016 年、埼玉医科大学に研究用 OCT 機器の計測ソフトウェアを販売
2014年~現在、医療機器メーカー A 社より医療用 OCT 機器開発(設計、開発、プロトタイプ作成)を受託⇒ OCT 装置
開発フィードバックサイクル最終段階実行中
2017年~現在、タツタ電線株式会社より OCT 計測システムの研究開発およびインテグレーションを受託
2019年~現在、光学機器メーカーB社より研究用 OCT 計測システムの研究開発およびインテグレーションを受託
2020年~筑波大学と共同で次世代OCT計測システムの実用化に向け研究開発を開始
2021年11月、JM-OCT製品化完了・販売開始(国内大手化粧品会社様へ納入済み)

研究内容

  スカイテクノロジーでは、光コヒーレンストモグラフィーに関する以下の研究開発を行っています。 

 ①「次世代OCT計測システムの実用化研究」(筑波大学と共同開発中)
 ②「早期市場投入のためのリサーチグレードSS-OCT実用化研究開発」(タツタ電線と共同開発中)
 ③「SS-OCT計測ボード用k-clock同期アルゴリズムの開発」
 ④「GPGPUを用いたリアルタイム3D画像ボリュームレンダリング技術の開発」

活用事例

花王株式会社様 ”CT-Skin”

花王株式会社様では、JM-OCTで計測されるデータを用いて、独自のアルゴリズムと三次元化技術を応用し、切らずに肌の内部を観察する”CT-Skin”が開発されています。
ニュースリリースのリンクはこちらです。

花王株式会社様ニュースリリース動画より引用

動画でも紹介されていますように、肌表面の凹凸、コラーゲン、血管、リンパ管を一つの3次元空間にリアルに再現されていました。
また、 血流の変化する様子も紹介されています 。

花王 コーポレート CT-Skin ~傷つけずに肌の中まで観察できる未来の技術 ~

研究成果

「GPU実装によるジョーンズマトリックスOCTのための高速最大事後複屈折推定」 

「GPU実装による Jones matrix OCT用 maximum a-posteriori複屈折推定器 GPU based high-speed implementation of maximum a posteriori birefringence estimator for Jones matrix OCT」 

〇 SS-OCT計測ボード用k-clock同期アルゴリズムの開発
 OCTの研究では、計測精度の向上や新しい解析処理の追加などで計測アルゴリズムの頻繁な改良が行われる。
新しいアルゴリズムの検証をPCで行い、その後、FPGAに組み込むことになるが、これまでは、検証とFPGA組み込みでそれぞれに別の開発環境が必要であった。
 NI社 LabVIWEでは、PCでのプログラムからFPGAのプログラムまで、LabVIEWという1つのプラットフォームの中で完結することができ、研究開発のサイクル短縮につながることが期待される。
ただ、これまで SS-OCTのデータ計測において、NI社製デジタイザを使用しリアルタイムで画像化を行っている装置の事例は無かった。これは、SS-OCT計測で主に使用されるAXSUN光源のk-clockを外部クロックとしたデータ収録に、NI社製デジタイザが対応していないためであった。
 本研究では、NI社製FlexRIOモジュール(NI5772RまたはPXIe-5764)を使用し、k-clockに同期しOCT信号の収録が行えるFPGAアルゴリズムの開発を行い、SS-OCT装置で収録したデータをリアルタイムで画像化することが可能となった。
これにより、NI社のLabVIEWを軸としたSS-OCT計測の統合開発環境が完成された。

JM-OCT製品化完了・販売開始

2020年より筑波大学と共同開発を進めておりましたJM-OCTの製品化が完了し、販売を開始しました。
JM-OCTは、産業への応用をはじめ、創薬・再生医療・生物学の研究に使われる、培養組織の評価技術としても 注目されており、幅広い分野での活用が期待されています。

JM-OCTシステムに続き、SS-OCT、SD-OCTの製品化開発も進行中です。

JM-OCT装置

JM-OCTの性能

2021年11月時点でのJM-OCT製品の性能とコントラストは下記の通りです。
※新技術の開発動向に合わせ随時、性能の向上と新機能が追加される予定です。

JM-OCTは計測対象や用途に合わせ、機能や性能のカスタマイズが可能です。
詳しくは、お問い合わせください。

JM-OCTの撮像例①

下記は、ヒト指の腹の撮像例です。
 一つのJones Matrix計測データから、複数の表面画像と断層画像を得ることができます。細かいシワやキメ、毛穴といった表面形態とその下を走る血管の構造を確認することができました。
 断層画像では、表面付近の層構造がはっきりと確認でき、汗腺、血管といった器官も観察できました。 OCT画像で複数の層が見えていますが、複屈折画像も参照すると、いったいどの層からコラーゲンの構造が変わっているのかということがはっきり確認できました。また、OCT画像でたくさんの穴のような構造(管腔)が見えていますが、血流画像を参照することで、それが血管であるのか、それ以外の器官であるのか考察することができます。
 このように、複数の異なる特性から観察することで、個々の画像だけではたどり着けなかった事実に気づくことができ、対象をより正確に分析することが可能になります。

ヒト指の腹(表面画像)

ヒト指の腹(断層画像)

JM-OCTの撮像例②

下記は、ヒト上腕内側の撮像例です。
 指の腹の表面形態と比較すると、溝の部分(皮溝)と溝で囲まれた部分(皮丘)の並び方が整った、いわゆる「キメの整った」状態ということが分かります。この状態だと光をバランスよく乱反射させて毛穴が目立ちにくいと言われています。
 また、指の腹の血管造影と比較すると細い血管が多く、網目状に広がった構造であることがよく分かりました。
断層画像を比較すると、指の腹で見えていた表面の分厚い層が上腕内側では見られませんでした(指の腹の、OCT画像で黒、複屈折画像で赤、偏光均一性で黄緑、で見えていた層)。 指の腹では物をつかんだりするために角質層が非常に厚くなっているのですが、そのようすを実際に観察することができたわけです。
 また、指の腹で見られたような大きな管腔は見られず、小さな管腔が多いことが断層画像であらためて確認できました。
 このように、部位によって異なる構造を正確に分析することが可能です。

ヒト上腕内側(表面画像)

ヒト上腕内側(断層画像)