統合管理プラットフォームとは?

 製品/データのライフサイクル短期化が加速していることに伴い、R&Dで得られた成果(研究データ、開発機器等)は早期にその価値を最大化し、次の投資や市場投入戦略の強化へ活用するという好循環を生むことが求められるようになりました。 
 統合管理プラットフォームは、リモートシステムや計測データを統合的に管理し、計測システムの状態監視からソフトウェアの自動更新、リモートシステムの共有・連携、計測/解析データの自動処理およびレポート出力を標準化します。これにより、組織内外のリソース(試験システム等の設備やデータ・技術・人材等)の相互利活用やR&D業務の効率化・R&Dサイクルの短期化に直結し、プロジェクトの挑戦・競争・推進力を飛躍的に向上させます。
 スカイテクノロジーでは、オープン性・拡張性・柔軟性に優れたSystemLinkを基本ソフトウェアとして採用し、短納期・低コスト・低リスクで統合管理プラットフォームを構築します。 

統合管理プラットフォームの機能

統合管理プラットフォームには、主に以下の機能があります。 

〇 管理業務支援 ・・・ 遠隔デバイスやデータサーバーのモニタリング・管理・設定をリモートで行う機能 
〇 業務の自動化 ・・・ 計測・解析・レポート業務などを条件に応じて自動実行する機能 
〇 データの保護 ・・・ ユーザー・管理者の限定や削除・上書き・検索の許可などを設定する機能 
〇 データの標準化 ・・・ 妥当性(欠損・異常値など)チェック、メタデータの付与、単位変換、統計計算、フォーマット変換など のデータの前処理機能 
〇 システムの共有/連携 ・・・ 資産(データやシステム)を効果的・効率的に活用するために、グループ内外のリソース(装置・データ・技術・人材)を共有するための機能 

データ管理の重要性

〇不正対策 
 プロセスの透明化やデータの再現性・信頼性の保証するため、企業・大学・研究所等多くの機関でデータ管理に関するガイドラインが定められ、必要に応じてデータの開示を義務付ける規定が設けられるようになりました。電子化データについては、メタデータの整理・管理と適切なバックアップにより再利用可能な形で保存することが多くの組織で求められています。 

〇オープンイノベーション 
  R&Dサイクルの短期化やR&D業務の効率化だけでなく、外部の技術・情報・人材といったリソースを相互に利活用するオープンイノベーションの取り組みが重要視されるようになりました。あらゆるデータを標準化・構造化し、検索・ダウンロード・再利用が容易な環境を早期に展開することで組織内外の資源を有効に活用しイノベーションを生み出すスピードを向上させ、R&Dコスト・リスクを低減させることが期待されます。

〇研究資金助成機関のポリシー 
 国内外で研究資金の助成機関による研究データ管理計画の提出が義務付けられるようになりました。日本では、「公的資金の研究成果についてはその利活用を可能な限り拡大する」という基本姿勢が示されており、研究データ管理は研究資金獲得のための要件となっています。 

失敗しない構築方法

 システム・データ統合管理プラットフォームは、導入目的が多岐にわたることやユーザーの範囲が大きくなりやすいこと、IoT技術の発展が驚くほど速いことから、問題が発生しやすく、注意が必要です。 

【よくあるトラブル】
  • ユーザーが多すぎて仕様がまとまらない。開発途中に仕様が変わる。
  • 共有・連携する他部署/他グループの協力が得られない。
  • 導入までの期間が長く、解決すべき課題や目的が仕様とずれてくる。
  • 導入直後は大きな効果が得られたが、次第に利用者が減り使われなくなる。

これらのトラブルを避けるためには、次のような対策が効果的です。

【効果的な対策】
  • 導入の効果が大きく分かりやすいところから始める。
  • シンプルな目的・課題を設定し、スモールスタートで成功事例を作ることから始める。
  • 即効性のある導入効果を得るため、開発のスピードと推進力を重視する。
  • 利用者全員に導入の目的・課題を周知し、組織内のコンセンサスが取れた状態を保つ。
  • 利用者全員で評価・改良/拡張を続け、プラットフォームのライフサイクルを伸ばす。

スモールスタートで行こう!

 統合管理プラットフォームは、システムやユーザーの規模が大きいほど、また、導入・更新のスピードが早ければ早いほどそのメリットや利用価値が向上する傾向にあります。しかし、始めから全ユーザーの目的・課題をまとめ大規模なプラットフォームを設計することはとてつもない時間とマンパワーがかかり現実的ではありません。また、半年もすれば新たなIoT技術が生まれている可能性もありますし、利用者組織の取り組みの度合いや利用状況によってプラットフォームへのニーズは少しづつ変化することを考慮すれば、長期間利便性を落とさず高効率に使い続けることのできる完璧なプラットフォームを一足飛びで設計し、構築することは大きなリスクを伴います。 

利用価値の高いプラットフォームであれば、次第に組織内外での期待値が高まり、近い将来、改良・拡張が行われるのは必然です。小さな成功事例ができ、ユーザー間や組織内外で利用価値があることが認識されるようになると次フェーズでの改良点や拡張機能のニーズが次々とあがるようになります。また、トップに利用価値が認識されるようになると開発のための予算やマンパワーが確保しやすくなり、プロジェクトの推進力が劇的に上がります。 
 計画の立案から、予算取り、開発、導入まで大きな問題なくスムーズにプラットフォーム構築を進めるためには、トップからユーザー層までプラットフォームの将来像・利用目的・利用方法を共有し、全員でコンセンサスを取る必要があります。まずは、導入効果が大きく効果を実感しやすい機能から構築し、利用状況に合わせて機能を追加したり、組織の取り組みの度合いに応じて徐々に拡張・改良することをおすすめします。

統合管理プラットフォームの寿命

 統合管理プラットフォームは、短サイクルでニーズや問題点を洗い出し、改良・拡張を行うことでその導入効果を最大に保つことができます。
 トップダウンでプロジェクトが進むものは、改良・拡張の予算やマンパワーは確保しやすいですが、エンドユーザーからのボトムアップでプロジェクトが進んでいるものは、成功事例ができるまでの予算とマンパワーが不足しがちです。また、十分な予算が取れる場合でもコンセンサスをを取りながらスムーズに導入することを考慮すれば、「スモールスタートで成功事例を作る」ことはとても理にかなった方法です。ところが、スモールスタートで導入したもかかわらず、うまくいかない場合があります。それはシステムのライフサイクルを延ばすのに必須な拡張・改良サイクルにうまく乗せられず、ユーザが限定的になったり、利用頻度が落ちる場合です。

主な原因は次の2つ、

①システムの柔軟性・拡張性に問題があり、短期・低コストで改良・拡張できない。
②計画から導入までに時間がかかりすぎて、導入時には仕様や要件が変わり十分な効果が得られない。
これらは導入システムの柔軟性・拡張性とその構築方法に問題があります。

 寿命の長い統合管理プラットフォームの構築するためには、開発サイクルの短期化や改良・拡張コストを考慮し、システムの構築方法や柔軟性・拡張性を十分に検討することが重要です。

統合管理プラットフォームの選び方 

統合管理プラットフォームの構成は、図のようにドーナッツ型の中央にメイン機能の「データのインデキシング・マイニング機能」があり、その付加機能として、周りに前処理や他のシステムとの連携機能、自動解析・レポート出力機能、共有と検索の機能、データ保護、デバイス監視、管理設定機能などのデータを統合管理するための様々な機能が付属する形をとっています。 

 データ管理プラットフォームの構築方式は大きく3つに分けられます。 

【フルオーダー方式】 
特殊な要望があったとしても、技術的・物理的な制約がないかぎり、目的や要求にピッタリのものができますが、コスト・時間・マンパワーがとてもかかります。 

【セミオーダー方式】
予め準備されたシステムを基に要求に合うように作り上げる方式です。専用に作らなければならない部分が多いのでそれなりのコストと時間がかかります。また、特殊な要望がなければ、要望にピッタリのものを作ることができます。

【パーツオーダー方式】
必要な機能だけを選び、汎用のソフトでは対応していない部分のみカスタマイズして開発します。要求に合うよう必要なパーツだけをカスタマイズするので、コストと時間が最小限で済みます。
導入までの時間が短いのでトレンドを追いやすく、使用するソフトも汎用性が高いものが多いので、拡張性や柔軟性に優れているのも特徴です。ミニマムスタートの為、予算申請が通りやすかったり、コンセンサスが取りやすいなどの利点もあります。

上の表は、方式別にコスト・時間・マンパワー・特殊性・トレンドの追いやすさ・コンセンサスの取りやすさを比較したものです。
どの方式を選ぶのが良いのかは、要求される機能や規模によっても変わってきますが、よほど特殊で実現できないという場合を除いては、セミオーダー方式かパーツオーダー方式をおススメします。
目的に合うソフトやシステムがある場合には、パーツオーダ方式の方がコストや時間がかからず、トレンドが追いやすいのでおススメです。
また、専用に作成する部分が限定的なので、コンセンサスがとりやすく、導入時および導入後の問題が起こりにくいのが特徴です。

SystemLinkの機能

NI SystemLink 2020 R1の機能は下記の表の通りです。

SysytemLinkのシステム要件

 NI SystemLink 2020 R1のシステム要件は下記の表の通りです。 

プラットフォーム構築例① 

SystemLinkには、デバイスの監視・診断機能に加え、データの前処理機能、インデキシング・マイニング機能、解析機能が可能となるようなモジュールが準備されています。さらに、データを検索・ダウンロード・アップロードできる専用のWebUIや多くの他社製品やシステムとも連携できるREST APIまた、数多くのDataPluginsが提供されています。 

緑色の部分は、私どもが開発を行う機能です。
まずは、計測の部分です。NI製品でない計測器でDataPluginsの準備がない場合には、専用のDataPluginsを作成します。
それから計測器の監視・診断に便利なモニタリング用のダッシュボードUIもすぐ使用できる状態に作りこみます。
他社製品とのデータのやり取りもREST APIを使用して可能になりますし、他の計測システムなどを開発したりまた、シミュレーションシステムのデータセットと連携させることが可能です。
次にカスタムWebUIです。Web上から解析や試験依頼を登録すると計測から・データの前処理・データ保存・解析・レポート作成・結果/診断通知まですべて自動で行います。また、手動で解析したい場合にも、検索・ダウンロード・アップロードももちろん可能です。
Webシステムは、どこからでも特別なソフトを持っていなくても使えますし、お客様の利用方法に合わせて自由に作りこむことができます。

お問い合わせはこちら